虫垂炎について
よくいわれる「盲腸」とは正式には「虫垂炎」という病名です。症状は右の下腹部痛が主なものですが、炎症の程度により胃のあたりの不快感から腹部全体の腹膜炎を起こしたりとさまざまです。昔は診断が難しいケースも多かったのですが、現在は超音波検査やCT検査によりほとんど正確に診断できるようになりました。
治療法は学会レベルで現在でも議論があります。簡単に言うと「抗生剤で治療する(保存的治療)」か「手術で治療するか」です。軽度の虫垂炎ならば禁食(腸の安静)と抗生物質投与でほとんど治りますが、再燃の可能性があります。手術は根本的治療になりますが、手術の合併症や永久的に虫垂を失う弊害(研究段階で虫垂が免疫に関与している可能性が示唆されております)もあり、診断がついたら即手術というわけではありません。
私は消化器外科医として約1000例の虫垂炎に対して手術を含む治療の経験がありますが、実際の虫垂炎の治療に際しては患者さんの個々の状態(年齢、社会的背景、既往の病気など)を総合的に判断して適切な治療を提案いたします。症状が強い場合は紹介先で入院をお願いしています。