膵炎について
膵炎とは
急性と慢性があります。急性膵炎の主な症状は上腹痛や背部痛、発熱で、意識障害を伴うこともあります。急性膵炎は3次救急対応になることもあるため、ここでは主に慢性膵炎について解説します。
原因・症状
慢性膵炎の原因で一番多いものはアルコール性です。原因不明な膵炎も増えています。胃の背中側に位置する膵臓の中の膵管という膵液(脂肪消化酵素)の通り道が細くなったり、膵石(石灰化)ができて膵液の流れが悪くなります。その結果、腹痛や膵機能の低下による糖尿病が生じます。進行すると消化不良をともなう下痢や体重減少を伴い、糖尿病がさらに悪化します。
診断・治療
血液データと造影CTにより診断します。急性期・劇症期でない場合は禁酒、禁煙を指導します。腹痛に対しては鎮痛剤や蛋白分解酵素阻害薬を使用します。投薬にて症状改善しない際は膵管狭窄に対しては内視鏡を用いて膵管にステントを挿入して拡張したり、膵石がある場合は体外衝撃波結石破砕術にて石を砕く場合もあります。これらの治療で改善しない場合は手術によって、膵液の逃げ道をつくったり、膵切除をすることもあります。
自己免疫性膵炎について
日本人に多い膵炎として「自己免疫性膵炎」というものがあります。IgG4という免疫グロブリンが増加して膵臓が腫れ上がり黄疸にて発症することが多いです。IgG4関連疾患(硬化性胆管炎、硬化性唾液腺炎、後腹膜線維症、腎症など)を合併することがあります。急性期を経て慢性化したら慢性膵炎の治療に準じます。